リーダーか,マネージャーか
「リーダー?別に自分とは縁のないこと」のように感じる人は多いと思う.
私もそう.
急にこの言葉を意識することになったのは,とある先輩がくれた本がきっかけである.
2月中,世界はコロナコロナゆうてるけど現在の最先端の医療技術を持ってすれば1ヶ月で鎮火するだろうと軽く考えていたCORONA VIRUS.
お前は強かった.
3月になってもウイルスはおしとやかになる様子は見せず,結局卒業式に予定していた追いコンなどは直前でキャンセルしなくてはならずバタバタだった.
結局研究室でしっぽり送迎会を行うことになったのだが,あまり卒業する先輩とゆっくり話せる感じでもなかったので.
その日,研究室でお世話になった先輩にお礼がてら改めて卒業おめでとうございますの旨を伝えた.そしたら
「なんかいい感じの本置いといたから読んでみて」
その人は分析力・インフラ知識を研究室内の他の誰よりも持っていて,研究プロジェクトをリードし,論文も提出,
日頃から研究室全体のセキュリティ関連を支えるだけでなくて,後輩育成や周りへの配慮を怠らない.しかも全く驕り高ぶらない.
たまに「仏ですか?」と思うほどの徳がある人で
私にとって一番身近ないわゆる「リーダー」だった.
なんの本じゃろ〜〜技術書かな〜とか思いながら翌日みてみるとこれだった
ええええええ
うちの研究室には「室長」なる存在がいる.
本をくれた人は室長だった.
室長と言うと仰々しい雰囲気なのだが,研究室全体のイベントとか連絡事項まとめたりする感じで,決して権力を振りかざすポジションではない.
このポジションはボスが勝手に任命するもので,ある日気づいたら自分が任命されていた.
そんな感じで自ら立候補する訳でもなく完全に「与えられる」ポジションだったから
この本をもらったのは少しびっくりしてしまった.
しかし如何せんその本の内容にハッとさせられることも多かったので,備忘録がてらまとめる次第である.
リーダーシップとは
リーダーシップは,特別な人だけがなれるものではなく,全員に開かれたその人のの生き方であり,プロセスを経て結果として「なっているもの」である.
本書では,リーダシップをプロセスとして捉え,それを「旅」になぞらえている.
つまりリーダーシップとは,
の3段階を段階を踏んでいくことで形成されるものであり,
特に「リード・ザ・セルフ」を促進させる「リーダーシップのエッセンス」として
を強調している.
例えば,今の自粛期間のある日のことを考えてみる.
仲のいい大学生5人がZoomで集まり,この自粛期間に何か面白いことをしたいという話になった.
その中のA君が「Zoomで,オンラインボードゲーム(例えばカタン)をやらないか」と提案し(実際にカタンがオンラインでできるかは置いといて),
実際にオンラインでのやり方を教えてゲームが始まった.
他の4人が言い出しっぺのA君の提案に付いていってやってみた結果, ワクワクするようなひと時を過ごせることができたとしたら,
A君は,ささやかながらリーダーシップを発揮したことになる.
A君は最初はリーダーでもなんでもなく,「みんなと自粛期間を楽しく過ごしたい」という思いだけがあった.
その思いを胸に行動(提案)した結果,周りの友人がついて来てくれ,望んだことを実現することができた.
やりたいことを達成し,後から振り返ってみると,A君はリーダーだったのである.
ポイントは,リーダーは権力や権限,地位を利用してではなく,
「その人自身」の存在や感情,行動により人を動かすということだ.
この観点からみると,「リーダー」と「マネージャー」は似て非なるものである.
リーダーとマネージャーの違いとは
リーダーシップを,「フォロワーを束ね,ベクトルを合わせて,求められる方向に導く」ことと勘違いする人は多い.
これは少しずれていて,「マネジメント」と混同している.
本書では,リーダーシップとマネジメントの違いが3つ述べられている.
- 「見える」か「見えないか」
リーダーは「見えないもの」を見ようとして新しい世界を創ろうとする.
一方マネージャーは,「見えるもの」を分析し,問題を解決することで組織の安定化に寄与しようとする. - 「人としての働きかけ」か「地位としての働きかけ」か
リーダーは,人々の価値観や感情に訴え,共感や賛同を経て周囲を巻き込んでいくのに対し,
マネージャーは,すでに与えられている権限や地位を利用してチームの構成員に働きかける. - 「シンクロ(同期化)する」か「モチベートする(動機付ける)」か
リーダーは,ビジョンに共感してくれるフォロワーの自発的な行動を誘発するのに対し,
マネージャーは人々の行動を管理し,同じ方向に進ませようとする.
リーダーシップの旅を阻むもの
自分が本当に望んでいること,人生で実現したいこと,貢献したいことに向けて旅の一歩を踏み出すことはそう簡単ではない.
まずは,なぜ今の仕事をしているのか,その会社や組織で働くことにどういう意味があるのかを一度立ち止まって熟考する必要がある.
キャリアとは,「たった一回限りの自分の人生を運ぶもの」という意味で,馬車や車と道後lげんであり,馬車が去って行った後の轍(わだち)がキャリアに他ならない.その足取りを見てこそ,これからどう歩むべきかが垣間見れる
夢なんか実現しっこないという人もいるが,実は夢しか実現しない (TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ社長,増田宗昭)
しかし多忙な現代人は,目の前の仕事をこなす忙しさを理由に,本当に自分のやりたいことや解決すべき課題から目を逸らしたまま(=アクティブ・ノンアクション)の人が多い.
アクティブ・ノンアクション... 毎日を多忙に過ごしているにも関わらず,本当に必要で意義があり,真の充足感をもたらす事柄には全く手をつけられていない状態.
これ以外にも本著では様々な名言が登場してきていて,
ひたすら自分の心に響いた.
これなんかは,学生も思い当たる人も多いのではないだろうか.
自分も例外ではない.やりたいことは実現させてきたと思いつつ,1日1日を振り返ると研究室の色々な仕事を言い訳に忙しい「風」になってたことも多い.
早いうちから自分がやりたいことを見出し,自分のスキルで生計を立ててる人,実現したいサービスを起業する人,そんな人はわずかである.
でも,「自分がどんな人間でありたいか」「何がしたいのか」
これは常に追い求め続ける姿勢を持ち,一度見出したらその気持ちに忠実に従い,覚悟を持って人生の進む道を変えられる人間でありたい.
最後に
タイトルにもある「リーダー」か「マネージャー」か.
これはどっちが悪くてどっちがいいと言ってるわけでもないし,
自分はどっちを目指そうという答えを持っているわけでもない.
正直リーダーだのマネージャーだの肩書きはどうでもいいなと思ってる.
少なくとも「この人と一緒にいて,仕事ができてよかったな」と思われる人間であればいいような気がする.